2022/8月の短歌

短歌

短髪にちらりとのぞくピアス穴、過去を覗いたようでそわつく

口のなか傷つけ溶けた金平糖かわいい見た目とげがあったね

灰の中面影さがし見つからず貴方の声を忘れゆくぼく

冷えきった氷が音を鳴らすたび急かされているはやく返事を

はらはらと猫の喧嘩を見守って、どちらも逃げてここに僕だけ

滲んでは垂れ落ちる汗を乾かすようふっと吹く風、救世主

鉢植えに咲いた小さなひまわりの太陽探し茎はねじれて

過去の傷疼いた夜はいき潜め気付かれぬようただ眠るだけ

湯気の香りにくつろいだあと2分今日のお昼はカップラーメン

さみしさに毛布を噛んだ午前2時あなたは寝てる?息をしている

甘ったるい埃を吸いこんでいる怠惰にフローリングのうえで

秘密ねと言ってしまって共犯者今日も脅えるあなたの声に

大嫌い、嫌い嫌いも両想い形違えば祝福なのに

古傷をナイフで刺して吐き戻す無駄な反芻変わらない過去

砂粒が素足に触れて波がさらってゆくから元通りだね

ゴミの日に捨てる気だった気持ちごとできなかったね中途半端ね

繋いだ手忘れないでねこの温度いつもどこでも覚えていてね

ごめんねとか細い声が謝った許さないからずっと一緒ね

わたしがね焼却処分できるなら君の棺桶にいれてほしい

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